iMac とにかく起動までの道のり

結論

ことの顛末

昨日の記事 に整理した方法をとにかく試した後、Apple サポートに電話で助けを乞う。

オペレーターと確認した前提とゴール

実機は iMac、使用していたディスクの状況は母艦と外付け HDD 2つがそれぞれ次のような状況。

Macintosh HD

Filesystem     Size   Used  Avail Capacity
/dev/disk2      3.1T   2.3T   801G    75%

HDD1

Filesystem     Size   Used  Avail Capacity
/dev/disk4s2  2.7Ti  2.6Ti   81Gi    98%

HDD2

Filesystem     Size   Used  Avail Capacity
/dev/disk3s2  2.7Ti  1.2Ti  1.5Ti    44%

HDD1,2 はそれぞれ Timemachine Backup ではなく、Macintosh HD に入り切らないデータの退避場所となっている。 ゴールは macOS Catalina へのアップグレードの途中で起動しなくなってしまった Macintosh HD の中身がどうなっているかわからないが、その中から可能な限りデータを復旧し、バージョンは何であれ再度 Macintosh HD に OS をインストールすること。

初回の電話と方策その1

そこでオペレーターから最初に提案されたのは、比較的余裕のある HDD2 にパーティション( 50GB もあれば十分 ) を作り、復元モードを使ってそこに macOS をインストールするというもの

iMac ■■■■■■■■■■■■■□□ <- 破損
 │
 ├─ HDD1 ■■■■■■■■■■■■■■□
 └─ HDD2 ■■■■■■■□□□□□□□■ 
                       ↑
                    ここに復元モードで OS をインストール

(伝われ…!)

通常の復元モードで開始

それぞれつないだ状態で、復元モード(⌘command + R 押下)で起動。ディスクユーティリティから HDD2 にパーティションを作る。形式は Mac OS 拡張ジャーナル。

フォーマットができたら OS インストールを選択、母艦で Catalina のインストール作業途中だったためか Catalina のインストールが始まる。インストール先で先程作成した HDD2 のパーティションを選択して開始。インストール作業はここから長時間かかるので電話はここで終えた。これでだめだったらインターネット復旧も試してみてくださいとのこと。

しばらく放置すると再起動が始まり、またインストールが再開。しかしそこからこれまで何度も試した通り止まってしまってダメだった。

インターネット復元モードで開始

インターネット復元モードのうち、最新の OS をインストールするモード(⌘command + ⌥option + R 押下)で起動。同様の手順を踏む。 同様に Catalina のインストールが始まり失敗。

次に工場出荷時の OS インストールを試みるモード(⌘command + ⌥option + ⇧shift + R 押下)で起動。 今度は El Capitan が出た。同じように始まるがやはり失敗。挙動が少し違って次のエラーメッセージだった。

インストーラーの有効期限が切れました。

これについても解決策は見当たらず諦めて翌日へ持ち越す。

2度目の電話と方策その2

エラーメッセージについて聞いてみたが要領を得なかった。原因としてなっとくいく説明は難しいらしい。 環境を聞かれたところ、インターネットが Wi-Fi 環境だが有線でやってみては、となんとなく苦しい提案…。

やれやれと思いながら LAN ケーブルを突っ込んで昨日と同じ作業をやってみるがどれも同じ結果に終わる。

3度目の電話と方策その3とその4

LAN ケーブルに差し替えたところでダメだった旨を報告。あと考えられる方法は、として HDD を新調する、とこれもまた行きあたりばったり的な提案を受ける。仕方ないのだろうか…。また別の方法として他の Mac を用意して、別ディスクへの OS インストールにそれを用いるという方法を提案された。なるほど確かに、iMac が調子悪くて別ディスクへのインストールも上手くできないのであれば別の Mac を使うのも手である。といったところでそんな高価な物いくつも持ってないわ、と終わる。

そして翌日、改めて考え、他の Mac ユーザーから Macbook Air を借りることに。またただでさえ自分の使用環境を見るとデータ置き場に余裕がない中だったので、HDDを新規に購入。HDD3 とする。

方策その3

まずこれまで試みた HDD2 へのインストールを、Macbook Air を使ってやってみる。

iMac ■■■■■■■■■■■■■□□ <- 破損
 │
 ├─ HDD1 ■■■■■■■■■■■■■■□
 └─ HDD2 ■■■■■■■□□□□□□□■
                       ↑
                    Macbook Air からここに macOS をインストール

正直これなら上手くいくという予感があった。調子の悪い自分の iMac と違って正常に動く Mac なんだから。しかしそう甘くなかった。 Macbook Air と HDD2 をつなぎ(USB-Type C 用ハブまで買ったわ…)で同じように復元モードでインストール開始。インストールが進み自動で再起動。すると Macbook Air が普通に立ち上がり、持ち主のアカウントでのログイン画面になった。自分の予想では再起動後は外付 HDD へのインストールの続きが始まると思っていたのでここから違和感があった。

一度電源を落とし起動ディスクを選択するモード(⌥option キー押下)で起動してみる。インストールが成功していれば、Macbook Air のディスクと、HDD2 が表示されるはず。しかしされない。 同じことを HDD2 と Mac を接続して行ってみる。すると Macintosh HD と別で HDD2 は表示されている。それを実行してみるとインストール作業が始まった。

しかしこれも上手く行かず。エラーメッセージはこれまで数度目にした。

インストーラーリソースの有効期限が切れました。

だった。

ここまでの Macbook Air を用いた手順をまた インターネット復元モード2種類でも試してみる。同じようにどうやら Macbook Air だけではインストールは完結していない模様。なぜ…。途中で iMac につなぎ直して続きを行ってみるとどちらも上手くは行かないものの挙動は少し違った。

⌘command + ⌥option + R で起動

コンピュータのインストール情報が見つかりませんでした。

⌘command + ⌥option + ⇧shift + R で起動

OS X をインストールするために必要な追加コンポーネントが見つかりません。

方策その4とその前に4度目の電話

いよいよ新規に買った HDD3 を試してみる。がその前に Macbook Air でのインストール挙動が納得行かなかったので、エラーメッセージの内容の質問と合わせて電話確認。

まずエラーメッセージに関してはなぜそのようなエラーが出るかの明確な答えは出なかった。

そして Macbook Air のインストール挙動についても、わかりません、としか言われなかった。やはり通常であれば Macbook Air から外付 HDD へ OS インストールを実行したのであれば、その中での再起動後は自動でそちらの HDD で起動されインストールが続行されるはず、なんですけどねぇ…とだけ言われる。

答えはもらえないまま HDD3 を使ったインストールを試してみる。

iMac ■■■■■■■■■■■■■□□ <- 破損
 │
 ├─ HDD1 ■■■■■■■■■■■■■■□
 ├─ HDD2 ■■■■■■■□□□□□□□□
 └─ HDD3 □□□□□□□□□□□□□□□
            |
        Macbook Air からここをフォーマット・ macOS をインストール

これが起動に向けた最後の方策になる。

通常の復旧モード(⌘command + R で起動)

Macbook Air でのインストールはやはり途中で止まる。そこで iMac に差し替えて ⌥option キーを押しながら起動。少し時間がかかったが HDD3 が Mac OS installer として表示されたので実行してみる。インストールが進み途中の自動再起動を挟んでやはり途中で止まって終了。

インターネット復元モード(⌘command + ⌥option + R で起動)

同じことをしてみる。ロゴから察するに El Capitan のインストールを試みているようだが、同じところで止まる。

インターネット復元モード(⌘command + ⌥option + ⇧shift + R で起動)

一つ手前の方法と同様、El Capitan のインストールが動くがだめ。ただ、ここで一つ思い当たった。少し前の作業から感じていた違和感に気づいたのだ。

  1. インストールが途中の HDD3 を iMac につないで ⌥option キーを押しながら起動
  2. HDD3 を選択すると El Capitanインストールが始まる
  3. インストールの過程で自動で再起動
  4. 立ち上がりインストール再開するもここで止まる

こんな流れだったが、4. でのインストール画面でのアイコンが、知らん間に Catalina になっていた。そういうことかと一瞬で合点がいった。

根本的な原因と解決方法(オチ)

通常、OS のインストールの過程で再起動が必要になるが、その処理は自動で行われる。今回の件を大雑把にまとめると次のようになる。

  • 仮に OS のアップデートに再起動が 2 度必要だとする。
  • iMacMacintosh HD が 1度目の再起動ののち(かは定かでないけど)インストールの途中で止まった。これは完了せず中断されている状態
  • それと別に Macbook Air を用いて HDD3 にインストール作業を開始。
  • Macbook Air で電源が落ちる-> iMac を ⌥option で HDD3 を選択し起動。インストールの続きが始まる。
    • この作業が再起動1度目にあたるのかもしれない。
  • HDD3 への OS のインストール作業の中で 2 度目の再起動。ここで挙動から察するに、起動時に中断中の Macintosh HD が選択され、上手くいくはずのないインストールが再開してしまう。これでハマってしまっていた。
  • 上手くいくはずのないインストールは物理電源ボタンで強制終了し、何も施さないまま 再度 ⌥option キーを押しながらで HDD3 を選択し起動する。すると 2 度目の再起動を終えたインストーラが再び動き出し、HDD3 へのインストールが完了する。
Macintosh HD    start --- restart --- restart --- (stop!) ---finish
HDD3            start --- restart --- restart -➚

この回路にひたすら陥っていた。つまり、インストール作業が上手く行かず、これじゃダメだと中断してフォーマット、別の方法へ、を繰り返していたけどもう一度ディスク選択ブートをしてインストールを続けさせるのが正解だった。わかるかいそんなん。

データの復旧と Macintosh HD の修復

インストールが完了し、HDD3 から起動することができた。iMac 実機がようやく動いた。

ターミナルを起動し、Macintosh HD の中を覗いてみる。

bash$ ls -a /Volumes/Macintosh\ HD
System            opt                   Users                   bin
Recovered Items   var                   …

ディレクトリ構成はちょっとうろ覚えだけど、見た感じ Library と Applications フォルダが吹き飛んでいたらしい。ユーザー領域を見てみる。

bash$ ls -a /Volumes/Macintosh\ HD/Users/sso775/
local            tmp            Downloads                Documents
Movies           Public         Desktop                  Pictures
Music

データ生きてた…本当に良かった…。また Recovered Items が見慣れなかったので調べてみる。

bash $ ls -a /Volumes/Macintosh\ HD/Recovered\ Items/
Applications        Library         …

退避されていた。Library 内を見ると Application Support なんかも残っていた。

とにかく必要なデータだけを rsync で HDD3 内に退避させたのち、一度電源を落としてインターネット復旧モードで起動(これから本体 HDD をフォーマットするので通常では上手く行かない)、ディスクユーティリティで APFS形式(Catalina用)でフォーマット、インターネット経由での Catalina のクリーンインストールを行ったところ、無事上手くいった。

まとめと所感

結局使っていた Mac の OS アップデートがなぜ失敗したのかはわからない。クリーンインストールでは上手くいったので何かしら元あったデータが悪さをしていたのだろう。 まずかなりしんどかった。ここまで淡々と試した方策を書いてきたが、OS インストールというのはかなり時間がかかるので、一つの作業を行うだけでも 1,2 時間とかかけてたので、起動しなくなってからここまでで 1週間半はかかっていた。Apple サポートのオペレーターの方々も丁寧に対応はしてくれたけど、正直根本的な理由が見いだせなかったり場当たり的な方策しか提案してもらえなかったりは期待はずれなところもあった。また何より10年以上の歴史がある保存データが飛ぶ恐れがあるというのは本当に落ち込むものだった。

教訓としてはありきたりだけど、バックアップとっておかないとな、というところ。なんだけどそれだけでもかかるコストって馬鹿にならないんだよな。

若くてお金に余裕もないうちに、Mac に限らず PC を買うって大変なことで、バックアップ用の大容量 HDD を合わせて買うまで手が回らないまま使ってる人って多いと思う。自分なんかもその例にもれず、そのまま使っているうちにデータだけが増えていって、今じゃ 3TB HDD 2.5 本分。それらまるごとミラーリング管理となるとかかる費用のことは考えたくない。

しかしながら今回の件で HDD3 を新たに買うに至ったので、少なくとも iMac 本体のディスクの TimeMachine 用として使おうかな、と思う。HDD が壊れて使えなくなる、というのも稀なことでもあるし、外付けの部分はある程度諦めを持って運用していくしかないかな。使っている HDD ケースが 2 本しか入らないやつなのでまた別のものを買わなきゃならないけど…。